はじめに|行動DNAデータから考えるマーケティング戦略とは新型コロナの影響が収束し、人々の外出への意欲が高まる中で、オンライン上のデータだけではない、実際のリアルな行動を反映したデータの価値はますます高まっています。 私たちが持つ「行動DNA偏差値※」という独自のデータを活用することで、生活者の関心が実際にどう動いているのかを把握し、それをマーケティング施策の設計等に役立てることができます。この「行動DNA偏差値」は時間の経過とともに地域ごとの関心の変化を追跡できるため、流行の移り変わり、季節ごとの変動、特定のイベントが人々の行動に与える影響などを詳細に解析することができます。※行動DNA偏差値とは特定の興味分野に対する人々の関心度を行動履歴・来訪頻度をもとに偏差値として表現したものです。数値が高いほどその分野への関心が高いことを意味し、マーケティングにおいて顧客のインサイトを観察するための指標とすることができます。本記事では、このような時系列データをどのようにしてマーケティング戦略に役立てることができるのか、例を交えてご紹介します。 生活者のリアルな行動データの関心推移からマーケティング施策を考える3月が終わりに近づき、桜の季節が訪れると外に出かけたくなりますよね。 今回は、そんなおでかけスポットとしてピッタリの「動植物園」「水族館」「美術館」を取り上げ、それぞれの行動DNA偏差値から、どういった示唆が得られるのかご紹介します。 まず2023年1月から12月の期間において、各カテゴリの行動DNA偏差値が高いエリアを見てみると、「動植物園」では白金台、「水族館」では押上、「美術館」では東京、の利用者が目立っていることが分かります。 このように、行動DNAアナライザーを活用すると、人々が最も関心を寄せる地域を「行動DNA偏差値」という具体的なデータを通じて特定することができます。このアプローチは、皆さんのビジネスエリアでどのような関心を持つ人が多いかを明らかにするだけでなく、特定の関心を持つ人々が普段から利用する場所を特定することを可能にします。これにより、以前は見えにくかった顧客の動向や好みをより詳しく理解できるようになります。 つづいてそれぞれのカテゴリに焦点を当ててみましょう。 時系列でみる関心トレンド:動植物園編行動DNAアナライザーでは、時間の経過に沿った偏差値の変化を追ってトレンドを分析することができます。 例として、「動植物園」において偏差値が最も高かった白金台駅の利用者たちのデータを見てみましょう。白金台エリアには、「八芳園」や「東京都庭園美術館」など、名高い動植物園が位置していることで知られていますよね。 グラフからは、4月と5月に関心が増しているのがわかります。これは、春が始まり、家族での外出やレジャー活動が増える時期であることが要因と考えられます。時系列でみる関心トレンド:水族館編つづいて、「水族館」の偏差値が最も高かった押上駅利用者の偏差値推移をみてみましょう。 押上の水族館といえば、東京スカイツリータウンにある「すみだ水族館」が有名ですよね。 グラフからは、夏休みシーズンである8月から9月にかけて水族館への関心が高まっていることが分かります。さらに興味深いことに、その関心は12月まで続いているようです。 時系列でみる関心トレンド:美術館編つづいて、「美術館」の偏差値が最も高かった東京駅利用者の偏差値推移をみてみましょう。 東京駅周辺には6つの美術館があるのをご存知でしょうか。 2010年より、アーティゾン美術館*、出光美術館、三井記念美術館、三菱⼀号館美術館(2024年秋まで休館)、東京ステーションギャラリーは「東京駅から歩いて訪れることのできる美術館」として、連携活動を行ってきました。2022年からは静嘉堂@丸の内が加⼊し、6館にて活動してまいります。「東京駅周辺美術館」の6館共同で情報発信をし、このエリアが「新しいアートスポット」として浸透・定着することを⽬指しています。*ブリヂストン美術館は、2019年7月にアーティゾン美術館に館名変更し、2020年1月に開館*三菱一号館美術館は設備入替および建物メンテナンスのため長期休館引用:6museums.TOKYOグラフからは、2月をピークに、年末にかけて徐々に低下していることがわかります。通常、ゴールデンウィークや夏休みなどの長期休暇中には関心が高まることが多いですが、昨年の東京駅周辺での状況はこれと異なるようです。これは、東京駅を利用する人々の関心が美術館から他の対象に移ったか、あるいは別のエリアで美術館への関心が高まったのかもしれません。 このように、行動DNA偏差値を時系列で分析することにより、関心のトレンドを捉えることができるだけでなく、プロモーションの前後でその効果を測定する手段としても利用可能です。来店数にとどまらない、「行動DNA偏差値」を通じた関心の変化を新しい効果指標として取り入れることで、より明確なマーケティング成果の実感に繋がるはずです。 さいごに今回は、「動植物園」「水族館」「美術館」を例に、行動DNAデータの活用例についてご紹介しました。次回は別のカテゴリを取り上げてみたいと思います。 記事の内容について少しでもご興味を持っていただいた方は、お気軽にお問い合わせフォームよりご相談ください。本記事ではご説明できなかった事例や活用方法についてご紹介することができます。